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30代サラリーマン応援ブログ。テーマ「仕事」「海外赴任・異文化」「英語学習」「家族」など

気の利かない人間はタイ人から気遣いの極意を学べ!

同じ職場で働くタイ人スタッフから休日にメールが届いた。ぼくが使用している業務用携帯の型名を教えてほしい、という依頼だった。これからショッピングモールに行くから、その携帯電話に合うケースを探してみると彼は言った。

タイでぼくが使っている携帯電話は、赴任当時に会社から支給されたものだ。ソニー製のExperiaだが、型名は古い。3年前のモデルだ。仕事で使いこんでいるうちに収納ケースが汚れ、ボロボロになってしまった。

あまりに汚れがひどくみすぼらしいので、いまぼくはケースを外して携帯を使っている。先日収納ケースを探しにバンコクの有名なエンポリアム・デパートに行ってみたが、モデルが古すぎてもう販売していないと言われた。

タイ人スタッフの彼も、ぼくの携帯電話の収納ケースのことを気にしてくれていたらしい。型名を彼に告げると、何色がいいかと聞かれたので「ブルーがいい」とぼくは答えた。彼は、Ogachi(ぼくの名前です)はブルーが好きだからね、と返した。

 

タイには、「タムブン」という習慣がある。「タムブン」とは、托鉢に回ってくる僧侶に対して行う寄進のことだ。日本では僧侶が托鉢にくるのを見る機会はほとんどないが、タイでは日常的な光景で、敬虔な仏教徒は毎朝「タムブン」を行うらしい。

スタッフの彼も定期的に「タムブン」をしている。それが、彼の習慣だ。タイでは、善い行いは自分の徳を積む、と考えられている。輪廻転生を信じる彼らは、徳を積むことで幸せな来世があると考える。

彼らにとって、他人に何かを与える行為は「善行」となる。加えて、小さなころから僧侶を敬い「タムブン」を与えてきた彼らにとって、他人に何かをあげる、何か喜ぶことをしてあげるというのは自然の行為であり、習慣であり、文化なのだ。

タイ人は「与え上手」だ。職場の同僚がぼくと同じように携帯の収納ケースがなかった場合、この休日にデパートで探して買ってあげようという気持ちにぼくはなるだろうか…。きっと、ならないなぁ(ひどい男でごめんなさい)。

 

ぼくは、秋田県の田舎に長男として生まれた。30年以上前のことだ。田舎では古い風習の名残りか、長男はまるで王子さまのように優遇されて育てられる。ぼくも随分と甘やかされて育った気がする。

ぼくは「気が利かない」とよく妻に言われる。妻に言わせれば、「気が利かない」というより「気がつかない」という表現のほうが適切らしい。

ぼくは、与えられて育った。社会人になり、「よく気がつく人」や「よく気が利く人」を見てすごいなぁ(ぼくにはとても真似できない…)、と感心することがあるけれども、そんな彼らもまた、昔から他人に何かをあげたり、してあげたりしてきた人たちなのだろうと思う。

 

与え上手になりたい。

新しい携帯電話のケースを見るたびにぼくは決意を新たにする。

毎朝「タムブン」を行うのは無理だけど、家族や仕事仲間や上司が喜んでくれるような何かを日々自分から与えていきたい。習慣が大事だ。

第一に優先すべきは妻だ。…が、妻が好きな色は何か?それすらぼくは答えを知らない。すみません、がんばります!