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30代サラリーマン応援ブログ。テーマ「仕事」「海外赴任・異文化」「英語学習」「家族」など

タイ人スタッフにジョブローテーションを言い渡すときの大事な心得!

新しいジョブローション(担当業務の配置替え)を発表した。

タイの職場では、ジョブローテーションは積極的に行われていない。慣れた仕事を手放し、不慣れな仕事をイチから始めなければならないことへの心理的な負担が、ぼくたち日本人の感覚の倍以上は重くのしかかっているようにみえる。

タイでは、「平穏無事」が好まれる。

つまり、「今までと同じ」が大事で、「何か違うこと」「新しいこと」が目の前に提示されると、彼らはだいたい拒否反応を示す。それが悪いと言うのではなく、「そういう傾向がある」と、ぼくは客観的に判断している。

けれども、経営側から見ると、このジョブローテーションは、組織を強化するために必要なことだった。

特にタイのように人材の流動性が高い労働環境では、「特定の個人にしかできない仕事」を、できるだけつくらないようにしている。ある日突然、担当していたスタッフが退職を申し出たときに、その「空白の業務分野」をほかの誰かが代わりにやれなければ、十全な組織活動ができないからだ。

流動性の高い職場環境では、特定分野に精通したスペシャリストよりも、業務全般を幅広くカバーできるゼネラリストを育成することのほうが優先される。これは、人材流出による業務停止リスクを回避するために、有効に作用する。

さらに、ジョブローテーションの機能は、組織としての「リスク回避」にとどまらない。

個人が幅広い業務を横断的に経験することで、ある分野の経験が、ほかの分野の業務に活かされ、組織活動全般の改善や強化につながることが期待できる。

つまり、ジョブローテーションは、組織としての「リスク回避」と、組織活動の「底上げ」を、同時に達成する可能性をもっている。

個人の観点から見ても、幅広く業務を担当することは、所属する組織や会社全体の活動をより立体的に、より俯瞰的に見通す力を育てる。このことは、個人のキャリア形成において、大いに役立つにちがいない。

 

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「今までと違うこと」「全く新しいもの」にストレスを感じやすいタイ人スタッフを、どうすれば今回実施しようとしているジョブローテーションに納得してもらえるかをぼくなりに考えてみたけれども、

その答えは、「今までと違わないこと」「全く新しく見えるが、実は今までと同じやり方や考え方が通じること」を彼や彼女たちに説明し、理解してもらうことではないか、ということだった。

実際に今回のジョブローテーションの発表を聞いて、想定通り(というか、想定以上に…)タイ人スタッフからの「拒否反応」を目の当たりにした。けれどもその「反応」は、新たな担当分野の「目新しさ」にのみ、表面的に「反応」しているようにも見えた。

きっと大事なことは、彼や彼女たちに「ストーリー」を提示してあげることではないかと、ぼくは思い始めている。

今までの経験ややり方が、新しい分野にも同じように通用することや、今までの業務とこれからの業務ではこの部分が共通しているから、あなたには絶対にできると、「ストーリー」を語る。

彼や彼女の心理的な「参入障壁」を、できるだけ低く低くしてあげることが、この場合、何よりも大事なことだ。

マネージャーとしての組織改編の決断と、タイ人スタッフの心理への配慮。マネージャーは忙しい!でも、これからのスタッフへの対応の方針が決まり、ぼくの気持ちは軽くなった。

明日もまた、がんばろう。