ロボット掃除機「ルンバ」を買う前に!
ぼくは海外(タイ)で単身赴任している。
妻は日本で、4歳と2歳の娘たちの育児をしながら、「作業療法士」として非常勤で働いている。
(「作業療法士とは、国家資格のひとつで、医師の指示のもとに障害者の身体運動機能や精神心理機能の改善を目指す治療(=作業療法)を行うひとのことです)
驚愕!娘たちの実態・・
娘たちはやんちゃで、すぐにケンカをするし、何か言うとふてくされたり、怒ったり、大きな声で泣いたりする。「女の子」ってもっと穏やかで、おとなしくて、いつもニコニコしているものだと思っていたのだけど、どうもちがうらしい。
たまに熱も出し、寝つきがわるく、食べ過ぎで嘔吐し、おねしょもする・・。
そんな娘たちの世話をしながらも、彼女は働いている。
べつにお金に困っているわけじゃない(とぼくは信じたい)が、彼女自身、ずっと目指していた仕事だし、何より仕事を通じた「社会」とのふれ合いが、慌ただしい毎日の喧騒をすこしでもやわらげてくれる効果もあるようだ。
育児と仕事。
毎朝彼女は5時半に起きるが、彼女が起きると娘たちも一緒に起き出す。朝の時間は慌ただしく過ぎ、そのなかで家事をこなすのは大変だ。
ルンバに頼れ!
彼女が、「ルンバがほしいなぁ・・」と言った。
ルンバとは、あの有名なロボット掃除機だ。
家事のすべてを、ひとりで抱え込む必要はない、とぼくは思う。「ロボット掃除機」という便利な機器があるのなら、すこしでも日々の家事の負担が楽になるのなら、とぼくは彼女の申し出に賛成した。
便利なものには、頼るべきだ!
床置きに気をつけろ!
万能と思われるロボット掃除機「ルンバ」には、弱点があった。
床にモノが散らかっていては、掃除ができない。我が家には、子どもたちのおもちゃが床に散乱している(「散乱」と言っては妻に怒られますが…)。
何気なく床に置きっぱなしにしたままの鞄類もある。それが、我が家の現状だった。
ルンバを購入する前に・・!
ルンバを買うかどうか悩んだ彼女は、ぼくにこう言った。
「今はまだ、ルンバは買わない。床にモノを置かない生活ができるようになったら、そのときに買うことにする。」
彼女はぼくより4つ年下だが、ぼくよりよっぽど物ごとを考えている。
ぼくだったら、ルンバを買えば、床にモノを置かない生活を心がけるようになるから、きっと問題ないだろうと発想してしまう。「うまくやれる自分」を、最初から想定してしまうのだ。
冷静に考えると、人間、面倒くさいことは、やらないものだ。こんな状態でルンバを買っても、結局いままで通り床にモノが散らかり、せっかく買ったルンバが役に立たない。
鞄類はなるべく壁にかけるようにし、おもちゃは決められた場所にしまう。そんな習慣を実現できたら、ルンバを買う。「実現する順番」を間違ってはいけない。“ルンバを買う”のが先ではない、“ルンバを持つにふさわしい生活をつくる”のが先なのだ。
・・
当時から時間が過ぎたが、まだ我が家にはルンバはない。
子どもたちも少しずつ成長し、片付けの習慣も身に付きつつある。けれども、妻からは、ルンバの督促はない。
いつの間にか、ルンバの必要性も薄れてきているみたいだ。