海外赴任中は上司をもっと大切にしよう!
日本で仕事をしているときと、いまのタイ赴任での働き方を比較して、決定的にちがうのは「上司との距離感」だと感じている。
海外駐在員の人数は限られている。限られている分だけ、良くも悪くも、日本人社員同士のつながりは強い。
ぼくの働く企業は、組織が大きい。組織が大きいだけ、逆に言えば、上司との距離感は遠い。
日本で働いているとき、上司とコミュニケーションをとる機会は、今よりも少なかった。
判断に迷うとき、トラブルが発生したとき、何か報告しなければならない案件が生じたときに、ぼくは上司に「報・連・相」をしたけれども、そのような実務上の必要性がないときには、上司とは距離を置いていた。
ぼくは業務上のアドバイスを求め、上司はそれに応えてくれたが、今になって思うことは、大事なのはその上司の判断や答えの基準となる「考え方」や「仕事の哲学」を理解することだったのだろうということだ。
豊かな経験と、それゆえに直面してきた多くの問題と解決の体験がある。それらが結晶化され、血肉となっている上司から学ぶべきものは多い。
ただし実際問題として、大きな組織では、上司は多くの部下をもっている。
部下一人ひとりと密にコミュニケーションをし、仕事観や価値観を伝え、分かち合うことは現実的にむずかしい。
海外となると、話は違ってくる。
この会社では、ぼくが所属する部門に日本人駐在員はぼくと上司しかいない。二人三脚のように、部門活動の計画をつくったり、組織の向かうべき方向性を考えたりしている。
上司の考え方や、仕事の哲学が見える。
実務上の問題が発生していなくても、タイミングを見計らって、上司とよくコミュニケーションするようになった。
たわいない雑談のなかにも、その上司のキャラクターは色濃く反映され、何を大切と考え、何を許せないと感じているかがわかる。
海外駐在期間中、上司と良質な関係性をつくれるかどうかは、その後のキャリアに大きく影響を与えうるものだと考えている。
上司は学びの宝庫であって、その源泉にアクセスし続ける努力を、ぼくは大切なものと実感している。