出家する男と働く女

同じ職場で働くタイ人スタッフが、これから2週間ほど休みを取るというので、彼女と旅行に行くには長い休みだな…と勘ぐっていると、理由は「出家するから」とのことだった。

タイでは、男は出家する。同僚に聞くと、およそ9割くらいが出家するそうだ。

仏教徒としての自分を高めるための崇高な修行なのかはわからない。成人式のように、「大人」として社会的に認めてもらうための通過儀礼というのが、現実的な意味合いのようだ。

そういえば、四ツ谷で通ったタイ語教室の先生（タイ人女性）が言っていた。

「タイの男は、出家をすれば親が天国に行ける。立派な親孝行ができる。親からも感謝される。だから、出家さえしておけば、あとは自由に暮らしていける」

「女性は、出家することができない。だから、徳を積むために一生懸命に働き、親の面倒を見、経済的な支援もしなければならない。それが、当たり前のこと」

「男はつらいよ」という昔の映画があったけれど、タイでは立場が逆転しているのかもしれない。タイでは、結婚してからも女性は働き続ける。しっかりとお金を稼ぎ、家族や両親を養う必要があるからだ。

ちなみに、男性は結婚後だと出家による経済的ロスが大きい（一定期間、無給となる場合が多いため）ことから、結婚前の「駆け込み出家」もよくあることらしい。

これから出家を予定しているあの同僚も、もしかしたら結婚間近なのかもしれない。