家庭では「いい演出家」を目指そう!
いい家族関係をつくるためには「演出」が必要です。
家族といっても根本的には「他人」です。極論すると、家庭とは「他人との共同生活の場」あり、いい関係性をつくろうと思うならある程度の演出や芝居やテクニックが必要です。
タイで単身赴任している駐在員のもとに、先日、日本から家族がやってきました。
遠くから来てくれた妻と子どもたちを喜ばせようと、その駐在員の彼は事前に、日本人向けのスーパーマーケットでたくさん買い物をしたそうです。
長男には長男の好きなリンゴ果肉入りヨーグルトとスナック菓子、次女には次女の好きなチョコ菓子と苺アイス、妻には妻の好きなチーズケーキ。そして、家族みんなが気に入っているカフェラテを全員分。
冷蔵庫や菓子箱のなかに、それらをさりげなく置いておいたそうです。
家族とはいえ、一人ひとりのおやつの好みを当てられるものではありません。まして、「リンゴ果肉入り」や「イチゴ味」など、それぞれの好みを細かく把握するのは相当困難のはずです。
彼はきっと、普段からこまかに情報を集めている。何気なく「これ、おいしいの?」「この味が好きなの?」と家族に聞き、その情報を覚えている。それをここだ!というタイミングで活用しているのです。
何も言わず冷蔵庫や菓子箱に入れておく、その演出もさすがです。普段は仕事でなかなか会う機会のないパパが、子どもたちの好きなお菓子をちゃんとわかっている。子どもたちにとって、それは「パパが自分たちのことをちゃんと見てくれている」というメッセージに他なりません。
いい「演出家」になりたいものです。
ぼくは「気が利かない」「配慮がたりない」と妻から言われることの多い人間なので、彼の演出を見習いたいと思います。大事なことは、普段のコミュニケーションから「相手の好きなこと」「相手が喜ぶこと」を引き出すように努めること。そうすれば、未来の演出に活かすヒントが見つかる。はずです。
それもしつこかったり、脈絡もなく唐突に質問するのは避け、あくまでも自然にさりげなくというのがポイントだと思います。