日本経済の構造とグローバル人材
海外で働いていると、拡大する海外市場の勢いやスピードを感じることができます。
最近、日経新聞にこんな記事が出ていました。
「海外配当、稼ぎ頭に」
との見出しで、「昨年(注 2014年のことです)、貿易収支の赤字補う」と続きます。
かつて日本は「輸出立国」として、日本国内でモノをつくり世界の市場にたくさん売ってきました。もともと日本には石油やガスなどの資源がないので、海外からの輸入に頼らざるを得ないのですが、それを差し引いても余りある分を輸出で「稼いで」いました。
10年前はこの貿易収支(輸出ー輸入)が、14.4兆円と10兆円を軽く超えるレベルの黒字だったのですが、2014年では、なんと10兆円の「赤字」になったそうです。
(背景には、原子力発電の代替電源となる火力発電向け液化天然ガス(LNG)の輸入増も影響しているようです)
とはいうものの、日本が「輸出立国」であるというのは過去の話で、現在では事情が大きく異なっています。
では、いま日本は何で「稼いで」いるか?
それが「海外からの配当金」です。
2014年の海外からの配当・利子収入(=「第1次所得収支」といいます)は、実に18兆円強。つまり、いまの日本経済の構造は、海外(正しくは、海外の「成長」)に投資をして、その配当や利子で儲けているということになります。
新聞記事の見出しのとおり、海外配当が「稼ぎ頭」なのです。日本はいま、「輸出立国」ではなく、「投資立国」です。
最近よく「グローバル人材」ということばを聞きますが、要するに、「(日本企業が)海外に投資した資金(=海外子会社や工場など)を有効に活用し、成果(「儲け」などのアウトプット)をしっかりと出すことができる人材」が求められているのです。
ということは、いまの日本経済の構造下でのキーワードは、シンプルに
「海外経験」×「マネジメント能力」
となりそうです。
日本経済の構造を理解し、海外駐在経験をチャンスととらえ、前向きに日々の仕事に取り組んでいきたいと思います。
海外経験から学んだことや、気づいたこともこれから発信していきます。