家づくり(2)「定住」はデメリットか?
「家」をテーマに、前回の続きです。
持ち家か、賃貸か?―この2択問題、僕が「持ち家」を選んだ理由の、大事な部分をお伝えします。
前回の記事では、持ち家派のデメリットとして挙げられる長期住宅ローン、補修・修繕費用の負担、固定資産税の支払いなど、「お金」の問題について取り上げました。
「備えあれば憂いなし」
それが、「お金」の問題に対処するための基本的な考え方です。「将来かかることが確定している費用」であるならば、前もって準備をして対処する。シンプルですが、やることはこれだけです。
さて、僕がこの記事で取り上げるのは、「定住」という2つ目の問題です。
持ち家を購入することは、一生その土地、その地域で暮らすということ。自由に住む場所を変えることができない、もし転勤になったらどうするのか?
先のことを案ずれば案ずるほど、持ち家を構え、生活の場を固定化することは、リスクのようにも思えます。
先の見えない時代では、「もたない暮らし」「シンプルライフ」こそ目指すべき生活スタイルなのに、資産的価値さえ期待できない「家」を持つなんて・・・。
―なぜ、いま「マイホーム」なのか?
率直に言います。それは、子どもたちに「ふるさと」をつくるためです。
僕は、自分のふるさとが好きです。高校卒業とともに生まれ育った田舎を出て、もう15年になりますが、いまだに実家へ帰るときは心が弾みます。
何か特別なものがあるわけでもない、目新しいこともない、実際は時の流れとともに変わっているはずの街なみも、子どもの頃と何も変わっていないようにも思える。
いつも同じようにそこにあって、いつでも帰って来れる場所。そんな場所を、子どもたちにもつくってあげたいと思っています。
いつでも帰れる場所、原点に戻り、やり直しができる場所を心にもつからこそ、安心して、子どもたちは、外へ外へと自分を広げていけるのではないか。子どもたちはきっとこれから、
新しい環境に飛び込み、ゼロから自分の力で社会を形成し、人間関係を結び直し、その環境のなかで自分を活かす努力をしていくのでしょう。
そんなとき、「ふるさと」があればいいな、と僕は思うのです。たとえ失敗しても、希望をなくしても、最後の最後に、自分が帰ることのできる「ふるさと」があればいい。
そのためには、「変わらずにいつもそこにあるもの」が必要です。だから僕は、持ち家にこだわりたい。
持ち家か、賃貸か―?この問いを、経済的な合理性だけで答えを出そうとする情報ばかりのように思います。でも、「家」の問題は、家族が生きるうえで切実な問題です。
僕にとって、家を建てることは、子どもに「ふるさと」をつくることです。だからこそ、持ち家による「定住」はリスクではなく、最大のメリットだと僕は考えています。