ラコステ(Lacoste)に学ぶ Simple is Best!
ファッションセンスというものが、ぼくにはなかった。
中学・高校と違い、大学では制服がないから、当然私服の数が増えた。あの頃の服はもう今では残っていないけれども、思い出すと恥ずかしくなるようなものばかり。
オレンジ色やブルーのロングTシャツに、ドット柄の黒いシャツを合わせる。ボトムはジーンズを穿くことが多かったが、裾が長くダボついている。何であんなチャレンジをしたのだろうと、自分のことながら呆れてしまうほどの、紫や緑や、奇抜な色合わせのチェック柄のシャツもあった。そのシャツは、ほとんど着ていない。
あの頃のぼくは、服に個性を求めた。
30代も半ばになり、ぼくはファッションに関する勉強を始めた。
どうしてそうなったのか、そのきっかけはよく覚えていない。ファッションに対する絶え間ない問題意識と危機感が、ぼくを「大人のファッション」への道に導いたのかもしれない。
ファッションに関する書籍や、You tubeをたくさん見た。読めば読むほど、見れば見るほどに発見があり、ファッションとは奥深いものだと知るようになった。
あるYou tube動画で、ファッションディレクターの干場義雅氏が、「ファッションは、センスではなく、知識で着るものだ」と言っていた。
ぼくはラコステ(Lacoste)のポロシャツが好きで、高温多湿の日々が続くこのタイでの休日スタイルはいつもラコステ(Lacoste)だけれども、その「大定番ポロシャツ」に身を包む安心感と、それを着たときのちょっとした高揚感に今はまっている。
ラコステ(Lacoste)がポロシャツの原型であり、長い間全世界の人びとに評価され、愛され続けてきたブランドだと知ると、ぼくはすぐにバンコク市内の店舗に出かけた。
店内で陳列される定番「L1212」とスリムフィット「PH051E」を見たとき、はじめは「こんなものか」と思った。
あまりにシンプルで、全く個性がない。無難で、物足りない。
試しにと購入した最初の一枚が、黒色のポロシャツだった。
ラコステ(Lacoste)を着馴染むにつれ、ぼくはその「無個性的なシンプルさ」をひどく気に入った。
ポロシャツ自体が個性を主張しないため、ボトムや靴に合わせやすいし、着回しがきく。スリムフィット「PH051E」のすっきりとしたシルエットと生地の上品さが、「大人ファッション」の味のようなものを醸し出していた。
ファッションにおいて、ぼくはどんどん「定番もの」を好むようになり、スタイルはどんどんシンプルになってきた。ぼくはこれが気持ちよく、服選びでの余計な迷いはなくなり、手持ちの服で多くの着回しができるようになった。
知識が増えれば、ファッションが変わる。
そして、ファッションひとつで休日の気分が変わる。
1つ悩みが消え、1つ楽しみが増えたことがうれしい。
ファッションという奥深い世界に、ぼくはいま踏み出しばかり。これから出会う新しい発見を、楽しみにしている。