海外で成果を上げ、国際体験を楽しむ人に共通する特徴とは?
引き続き、小林裕一著『アジア人との正しい付き合い方 異文化へのまなざし』(2008、NHK出版生活人新書)からのシェアです。
海外でうまく成果を上げるひと、異文化体験を楽しめるひとの特徴は何か?
どのような能力や感性が必要なのか?
本書で紹介されている、「海外で成功した人に共通する特徴は何か?」についてのアメリカでの研究成果をシェアします(キリーとルーベンの研究)。共通する特徴は、次の8つのようです。
(1)共感性(異なった文化を共感的に理解できるかどうか)
(2)敬意(相手の持つ文化への判断を保留し、まず敬意を持ってのぞめるかどうか)
(3)現地の人と文化に対する興味(異文化環境への好奇心をどれだけ持ち続けられるか)
(4)柔軟性(パラダイム・シフトがどれだけできるか)
(5)忍耐力(勝手の違う土地で、思うようにことが運ばないことに、どれだけ辛抱できるか)
(6)仕事上の技術(その土地の人を使って、実際に仕事を進める実務能力があるかどうか)
(7)社会性(現地の友人をどれだけ作ることができるか)(8)オープンな心(偏見なく、寛容でおおらかな心で異文化環境を受け入れられるか)
続いて、日本の研究者がまとめた「異文化対処力」(=「自文化と異なる文化」一般に対処の仕方を助ける能力)について紹介します。この「異文化対処力」は、3つの要素に分類されます(山岸みどり氏、井上理氏、渡辺文夫氏の研究)。
第一の条件が「カルチュラル・アウェアネス(文化的気づき度)」の能力で、これは自文化への理解、非自民族中心主義(相手国の人々に対する敬意など)、外国文化への興味からなる。
二番目の要素は「自己調整能力」で、異質なものに対してどの位自分を調整して対処できるかの能力。
そして、三番目は「状況調整能力」で、仕事での任務や対人関係といった、その人をとりまく状況に対する一般的な能力である。
このように、求められる特徴や能力が明瞭に言語化されていると、わかりやすいですね。
最後に、ある日本企業の海外開発業務課長の「海外駐在員を選ぶポイント」を紹介。まさに、簡にして要を得る、という感じです。
①重要なのは、語学力ではない。
②会社の内外に、大勢友人がいる人。
③常に物事に「驚く心」を持ち合わせている人。
④町や田舎をキョロキョロ見回して歩く人。
異国にお住まいの方、海外駐在員の方、異文化に興味のある方々の参考となれば幸いです。