海外駐在員の仕事論。ひとりで仕事を抱えずに、仕事をさばいてナショナルスタッフを動かそう。
海外駐在員の仕事は、どれだけナショナル・スタッフに仕事を委託できるかが鍵です。つまり、日々どれだけナショナル・スタッフを動かせられるかが、マネージャーとしての力量なわけです。
日本人駐在員がいくら頑張っても、ぼくたちは社内では圧倒的にマイノリティなわけだし、よく言われることだけど、ひとりの人間ができることなんて多くない。それに「駐在員」である以上は、「期限付き」です。何年か経てば、帰国する。そのとき、自分がいなくても組織のパフォーマンスが変わらない体制を、整えておく必要がある。
ナショナル・スタッフが動かなければ、組織活動の現状が動かない。逆に言うと、現状を動かすのは、ナショナル・スタッフによる仕事だけです。日本人駐在員がどれだけ働くか、ではない。日本人駐在員として、このポイントは常に意識していなければいけないとおもいます。
だいたい日本人駐在員というのは「自意識過剰」な人間の集まりで。現地のスタッフに任せても仕事が進まない、できないから、自分がやったほうが早い、彼らに任せるにはスキルが足りない、とか、いろんな理由をあげて、自分で仕事を抱えこむ。ぼくも含めて。そういう「習性」が、日本人駐在員というものです。
でも、それって「仕事をどうさばくか」の(自分自身の)熟練度の問題ととらえることもできるわけで。
現地スタッフに委託するには、この仕事はしんどいと思う。→だったら、現地スタッフに委託できる単位まで仕事を細かく切り分けて渡すことも、きっと可能のはず。
日々トレーニングして、うまく仕事をさばけるようになろう。自分は「自意識過剰」だと自覚して(自分を諭して)、周りのスタッフに助けてもらう、支えてもらう、手を貸してもらうことに焦点をあてるほうが、よっぽど生産的です。きっと仕事がまわる。
任せてみて、意外にうまくいったら、もっと任せてみる。ぼくはマネージャーとして、仕事をさばいて、さばいて。ナショナル・スタッフが動く、組織を動かす。そうやってぐるぐると、仕事を停滞させることなく、まわし続ける。そんなチームを、ぼくはつくりたい。