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30代サラリーマン応援ブログ。テーマ「仕事」「海外赴任・異文化」「英語学習」「家族」など

どうして日本のサラリーマンの平均収入が落ちている?

日本のサラリーマンの平均収入が落ち続けている理由は、日本企業が中国や韓国勢などを相手としたグローバル規模での競争が激化しているからだろうと思っていましたが、

それなら日本だけではなく、同じように過酷な競争環境に晒されているアメリカも、ヨーロッパ諸国も、みんな平均収入が減るはずなのに、どうも日本だけが「憂き目」に合っている・・・。

今日経営コンサルタントである小宮一慶さんの著書を読んでいて、この「日本だけが平均収入が落ちているという特殊事情」の背景を理解することができました。

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ターニングポイントは、日本企業の経営が「株主重視」に変わったことです。

過去の日本企業は「終身雇用」や「年功序列」ということばが示すとおり、「社員重視」の経営スタイルで、たとえば大企業に入社した場合、どんな社員でも、40歳では800万円以上の年収が約束されていました。

「どんな社員でも」ということは、つまり、(能力や貢献度などの)実態よりも多く収入を得ることができていたひとがたくさんいた、ということです(当然ながら「終身雇用」や「年功序列」は日本企業に根付く文化でもあるので、今でもこの「実態よりも多く収入を得ているひと」はたくさんいると思います)。

企業の業績自体も、昔の会計ルールでは、退職金や退職年金などの退職給付付債務を負債として計上する必要がなかったり(=「隠れ負債」にできる)、

株式や不動産などの資産の価値を、時価でなく、購入時の価格(原価)で評価することができたりと、決算のときに「実態よりも業績をよく見せること」が可能でした(資産が目減りしても、財務諸表に時価で記載する必要がありません)。

その「水増し分」を取り払い、隠れていた実態(=真水の部分)をあらわにするのが、国際会計基準に基づくグローバルスタンダードです。

グローバルスタンダードのもとでは、企業は株主に対して、いかに彼らの投資金を効率よく運用し、利益を出したかの説明が求められます。これが、「株主重視」の経営です(今日の日本企業の経営スタイルです)。

企業が利益を上げるための確実な手段は、コストを抑えることです。ただし国際競争力の要となる設備投資や研究開発の費用は削るわけにはいかず、企業は「人件費」に目をつけます。人件費は、「社員重視」の古い経営スタイルの名残から、逆に言えば「削減余地が大きい(可能性がある)」と判断できるからです。

日本人社員は高賃金なので、企業は正社員を減らしたり、外国人ワーカーを雇ったり、給料を抑えたりといった対策を打ち、人件費の削減に取り組みます。

これが、「日本だけ平均収入が落ちている背景」です。

会社員の身の上には世知辛い話ですが、この仕組みを理解しておくことは重要です。まずはざっと現状を認識した上で、「ではどういう働きかたをすればいいのか?」を次回から考えていきたいと思います。