ラーメンと砂糖と人間観
タイ人は、よくラーメンに砂糖を入れて食べます。
驚くかもしれませんが、本当です。しかも、軽く振りかける、というレベルではなく、
大さじ2~3杯くらい
どっさりと入れます。
そしてそのうえに、魚醤やチリ(激辛)の調味料を混ぜ込む。ひと口味見をして、何か足りないものがあればさらに追加します。
特別な光景ではなく、日常のことです。
これって、面白い。食文化が違う、その「違い」そのものが面白いなぁって思います。
僕にはラーメンに(大量に)砂糖を入れるなんて発想がなかったし、どんな味になるかなんて想像もできない。でもだからと言って、初めて見たときに、タイ人がラーメンに(大量に)砂糖を入れるなんて変だ!とは思いませんでした。
ただ、「あ、違うんだ」ということに改めて気づいたのです。
同じアジア系で、互いに似たような顔立ちや体型をしていても、普段食べるものだったり、その味を感じる感覚だったりが、全然違う。
「同じ人間でも、全然違う人間」
と、普段僕は仕事をしているんだな、ということを改めて認識しました。
だけどこれって、日本人とタイ人という比較だけでなくて、あらゆる人間関係に対して言えることなんじゃないか、と思うのです。
僕と僕の妻、僕と僕の娘、僕と僕の上司、僕と僕の友人・・・。
みな「同じ人間でも、全然違う人間」
だということ。
この原点を思い出せば、他人との多少の考え方の不一致や、理解の食い違いなど、「あって当然のこと」のように思えます。だから、そのこと自体に気を病まずに、しっかりコミュニケーションをとって問題を解決しよう、という気持ちになれる。
海外で暮らすメリットは、
「人間はみな違う文化背景や価値観をもっている。違っていて当然。全く同じ人間は誰ひとりとしていない」
という原点に立ち返る機会が多いことです。
その「違い」を認めて、受け入れて、僕たちはちょっとずつ心の幅が広がっていく。そんなふうに思います。
ラーメンに砂糖。
いつか食べる日がくるのかも(笑)